ピストンポンプとダイヤフラムポンプの違いは圧力によって決まる?2MPaの導入事例付き
高圧で送りたい。
ダイヤフラムポンプで探しているけれど、本当にそれで足りるのか分からない。
ピストンポンプを勧められたものの、何が違うのか決め手がない。
ここで止まっている方は多いと思います。
この記事では、2つのポンプの違いを比較表で整理し、どちらを選ぶかの決め手をご説明します。
ピストンポンプが向かない条件も、あらかじめお伝えします。
当社はAROの流体機器を約40年扱ってきました。ダイヤフラムポンプとピストンポンプの両方を扱う立場から、まとめています。
ピストンポンプとダイヤフラムポンプ、どちらを選ぶべき?
必要な圧力が高い場合や、粘度の高い液を送る場合は、ピストンポンプを第一に検討します。
固形分の多い液を送る場合や、空運転が避けられない場合は、ダイヤフラムポンプが合うことがあります。
メーカーのリーフレットでも、次のように整理されています。
・圧力条件や流体の粘度が選定の主な課題になる場合は、ピストンポンプ
・固形物の混入、空運転、単純な移送が最優先になる場合は、ダイヤフラムポンプ
当社がご相談を受けるときに、まず確かめるのは必要な圧力です。
リーフレットでも、ダイヤフラムポンプは「低圧から中圧」、ピストンポンプは「高圧から超高圧」の用途に分けられています。
ピストンポンプとダイヤフラムポンプの違い【比較表】
メーカーのリーフレットの内容を、当社で7項目に整理しました。
【圧力】
ピストンポンプ:高圧から超高圧まで対応
ダイヤフラムポンプ:低圧から中圧まで対応
【粘度】
ピストンポンプ:グリース、塗料、接着剤、シーラントなどの高粘度に最適
ダイヤフラムポンプ:低〜中粘度は良好。非常に粘度の高い材料は難しい場合がある
【得意なこと】
ピストンポンプ:高圧、高粘度、精密な圧力制御
ダイヤフラムポンプ:スラリー、固形分を含む液、一般的な移送
【固形物・スラリー】
ピストンポンプ:清浄な液に最適。固形分が多いスラリーや研磨性のスラリーには向かない
ダイヤフラムポンプ:スラリー、浮遊固形物、研磨性のものも処理できる
【空運転】
ピストンポンプ:対応していない。潤滑油と流体が必要
ダイヤフラムポンプ:損傷せずに空運転できる
【流量と圧力の安定】
ピストンポンプ:流量を正確に制御でき、圧力も安定
ダイヤフラムポンプ:一般的な移送向き。圧力や粘度で流量が変わることがある
【主な用途】
ピストンポンプ:塗料、シーラント、接着剤、グリース、インキ、潤滑油、高圧移送
ダイヤフラムポンプ:スラリー、廃水、化学薬品、塗料、一般的な移送
出典:ARO「ピストンポンプの基礎知識」(Ingersoll Rand、2026年)
ピストンポンプが向かない条件は?
ピストンポンプにも、向かない条件があります。導入してから困らないよう、先にお伝えします。
空運転が起きる使い方
ピストンポンプは、潤滑油と流体があって正常に動きます。空運転には対応していません。
材料が切れても動き続けるような使い方なら、ダイヤフラムポンプのほうが合います。
固形分の多い液、研磨性の液
ピストンポンプは清浄な液に向いています。
スラリーと一口に言っても、固形分の量や性質によって向き不向きが変わります。判断に迷う場合は、流体の条件をお知らせください。
電気代と排気音
エア駆動のため、一般に電動ポンプと比べてコンプレッサーの電気代がかかる傾向があります。差の大きさは、工場のエア設備や稼働時間によって変わります。
排気音も出やすくなります。
これはエア駆動のダイヤフラムポンプにも共通する点です。電動ポンプと比べている場合は、あらかじめ考えに入れておいてください。
当社はダイヤフラムポンプも扱っています。条件をうかがったうえで、ピストンポンプが合わなければ、そうお伝えします。
【導入事例】ダイヤフラムポンプで探していた2MPaの圧入に、ピストンポンプを導入
導入先:株式会社RYOENG様
用途:フィルタープレスでの脱水効率を上げるための、高圧仕様の圧入ポンプ
使用機種:AROピストンポンプ NM2304A-11-C11
ご相談の始まり
RYOENG様が最初に探していたのは、「2MPaで圧入できるダイヤフラムポンプ」でした。
当社はご要望の条件をうかがい、ピストンポンプをご提案しました。
導入後にいただいた声
「竪型という事もあり、タンクの上部から取付けることができ、設置スペースを取らない点。」
「営業担当者の方にレスポンスよく対応して頂きました。」
この事例から言えること
探し始めの段階では、ポンプの種類が決まっていても構いません。
必要な圧力をお知らせいただければ、ダイヤフラムポンプとピストンポンプの両方から比べてご提案します。
ピストンポンプはたて型のため、タンクの上に直接取り付けられます。置き場所に悩んでいる場合も、あわせてご相談ください。
どちらを選ぶか、決める前に確認しておきたい項目は?
メーカーのリーフレットでも、選定のときは流体の種類、粘度、流量、圧力の4つを考えるよう書かれています。
当社では、これに比較表の内容を加えて、次の6つを確認します。
・必要な圧力 … 何MPaで送りたいか。この記事で一番大事な項目です
・流体の種類 … 材料名。溶剤や薬品を含む場合はその内容
・粘度 … 分からなければ「グリース」「シーラント」など呼び名で構いません
・固形分の有無 … 粒や繊維が混ざっているか
・空運転の可能性 … 材料が切れたままポンプが動く場面があるか
・流量と設置場所 … 1分あたりの量と、置ける場所の広さ
すべて揃っていなくても構いません。
今お使いのポンプがあれば、銘板の写真を1枚お送りいただくだけでも、話が進みます。
今のポンプを部品交換で使い続けたい場合や、型番が分からないポンプを更新したい場合は、次の記事もご覧ください。
→ AROピストンポンプの補修部品・修理キット|1個から手配できます
→ 型番が分からないポンプの更新|現物から後継機を探す手順
まとめ
・ピストンポンプとダイヤフラムポンプは、どちらも流体を送るポンプですが、得意な条件が違います
・必要な圧力が高い場合や、粘度の高い液を送る場合は、ピストンポンプを第一に検討します
・固形分の多い液や、空運転が避けられない使い方では、ダイヤフラムポンプが合うことがあります
・ダイヤフラムポンプで探していた2MPaの圧入に、ピストンポンプを導入した事例があります
・決める前に、必要な圧力をはじめとする6つの項目を確認しておくと、選定が早く進みます
この記事の比較表のもとになった、メーカーの日本語リーフレット「ピストンポンプの基礎知識」を、無料でダウンロードいただけます。
全4ページで、2つのポンプの比較ページのほか、ピストンポンプの3つのタイプと、それぞれに向く材料がまとめられています。
社内で検討するときの資料として、お手元に置いておいてください。