型番が分からないポンプの更新|現物から後継機を探す手順
更新することは決まった。予算も通った。ところが、今付いているポンプの型番が分からない。
銘板が材料で埋まって読めない。そもそも銘板が付いていない。設備一式で導入されたため、ポンプ単体の資料が社内に残っていない。
既設設備の更新では、珍しいことではありません。
型番が分からなくても、現物と運転条件から後継機を絞り込むことはできます。この記事では、どこを見て、何を測り、何を伝えていただければ話が進むのかをご説明します。
型番が分からないまま、更新を進めなければならない場面
ご相談をいただく状況には、いくつか決まった形があります。
- 銘板が塗料や材料で覆われ、刻印が読み取れない
- 銘板が経年で剥がれ落ちている、または貼り替えられている
- 設備一式で導入されており、ポンプ単体の資料が社内にない
- 導入時の担当者が異動・退職しており、経緯を知る人がいない
- 前任者が別のポンプに載せ替えており、図面と現物が一致していない
※あくまで一例です。
共通しているのは、「今と同じものを買いたいのに、今何が付いているのか分からない」という状態です。
そして多くの場合、この状態で止まっているあいだも設備は使われ続けています。
急いで決めなければならないのに、決めるための情報がない。 ここが一番つらいところだと思います。
まず探していただきたい場所
銘板が読めない場合でも、社内に手がかりが残っていることがあります。この段階で見つかれば、あとの作業は不要になります。
ポンプ本体の刻印
銘板とは別に、鋳造時の刻印や、部品側の刻印が残っていることがあります。エアモーターの上部、ロアポンプの側面、フランジの周辺あたりをご確認ください。
材料が固着している場合は、無理に削らず、拭き取れる範囲で構いません。
設備の取扱説明書・部品リスト
ポンプが装置に組み込まれている場合、装置メーカーの取扱説明書や部品リストに、ポンプの型番が記載されていることがあります。 「構成部品一覧」「消耗品リスト」といった章が該当します。
過去の発注記録・納品書
購買部門に残っている過去の発注データや納品書に、型番が残っている場合があります。ポンプ本体でなくても、過去に発注した補修部品の品番から本体を逆に辿れることがあります。
制御盤・配管まわりの表示
設備の制御盤や配管に、機器番号や仕様が書かれた表示が残っていることがあります。設備台帳と突き合わせると、当時の型番が出てくる場合があります。
現物から測れること
社内に記録が残っていない場合は、現物から情報を取ります。特別な計測器は必要ありません。 メジャーがあれば足ります。
外形寸法と全長
ポンプ全体の高さ、エアモーター部の径、ロアポンプ部の長さを測ってください。特にロアポンプの長さは、タンクやドラムに差し込む深さに直結するため、後継機を選ぶときの制約になります。
材料の入口・出口の口径と接続形式
材料が入る側と出る側の、それぞれの口径を測ってください。
エア配管の口径
圧縮空気が入る側の口径です。既設のエア配管をそのまま使えるかどうかの判断に必要です。
ストローク
ピストンが1往復する幅です。運転中に目視で見当がつく場合があります。正確でなくて構いません。
設置方式
何に、どのように取り付いているかです。
- タンクの上部に直接取り付けられている
- ドラムカバーに載っている
- 架台や壁面に固定され、配管で材料を送っている
- カートに載って移動できるようになっている
写真を1枚撮っていただくのが、言葉で説明するより確実です。
運転条件から分かること
ここが最も重要な部分です。型番が最後まで分からなくても、運転条件が分かれば同等品は選べます。
レギュレータの設定圧
ポンプに供給している圧縮空気の圧力です。レギュレータの圧力計を読んでください。工場エアの元圧とは別に、ポンプ手前で減圧している場合があります。
吐出側の圧力計の指示値
吐出側に圧力計が付いていれば、その指示値を控えてください。供給エア圧と吐出圧の関係から、およその圧力比が分かります。
1分あたりのサイクル数
運転中に、ピストンが1分間に何往復しているかを数えてください。おおよそで構いません。
実際の吐出量
一番確実なのは、「ペール缶1本が何分でなくなるか」「1日で何缶使うか」といった、現場で把握している数字です。
カタログ上の定格ではなく、実際にその設備で出ている量が分かると、後継機のサイズを外しません。
計器が何も付いていない設備もあります。その場合でも、材料の消費量だけで見当がつきます。
同等品を選ぶときに外せない条件
現物と運転条件が分かったら、次の5つで後継機を絞り込みます。
- 流体の種類と温度 … 材料名。溶剤や薬品を含む場合はその内容
- 粘度 … 使用する温度での値。分からなければ「グリース」「シーラント」など呼び名で構いません
- 必要な吐出圧 … 何MPaで押したいか
- 必要な流量 … 1分あたり、または1日あたりの量
- 設置スペースと据え付け方式 … 入る寸法と、取り付け方
AROピストンポンプの場合、この5つが決まればタイプが絞れます。チェック機構によって2-ボール、4-ボール、チョップ-チェックの3タイプに分かれ、圧力比は1:1から65:1まで設定があります。
ここで一つ、お伝えしておきたいことがあります。
後継機選びは「今と同じもの」を探す作業ではなく、「今と同じ仕事ができるもの」を選ぶ作業です。
今のポンプに不満があるなら、更新はそれを直せる数少ない機会です。
- 圧力が足りず、時間がかかっている
- 設置スペースが窮屈で、点検がしづらい
- 部品の手配に毎回時間がかかっている
こうした点は、遠慮なくお伝えください。 同じ条件で選び直すより、条件を整理し直したほうが、結果として良い設備になることがあります。
写真を送っていただければ絞り込めます
ここまで読んで「測るのも大変だ」と思われた方もいらっしゃると思います。設備が動いている中で、そこまで手をかけられないのが実情かと思います。
写真を数枚お送りいただくだけで、絞り込める場合があります。
撮っていただきたいのは次の4枚です。
- 全体 … 設置状態が分かるよう、少し引いて撮ったもの
- 銘板 … 読めなくても構いません。位置と形状が手がかりになります
- 材料の入口・出口まわり … 配管の接続部分が分かるもの
- エア配管とレギュレータ … 圧力計の指示値が読めると助かります
すべての機種を特定できるとお約束はできません。ただ、写真と運転条件が揃えば、候補を数機種まで絞ってご提案できることが多くあります。
更新のときに、あわせて決めておきたいこと
後継機が決まったら、次の2点も同時に決めておくことをおすすめします。
- 修理キット番号を控えておく … カタログの性能表に、機種ごとの番号が記載されています。本体型番とセットで設備台帳に残しておくと、次に部品が必要になったとき、一度の連絡で手配できます
- 予備品を持つかどうかを判断する … 止まったときの影響が大きい設備であれば、消耗部品を1セット確保しておく判断があります
更新のタイミングは、この2つを社内で通せる数少ない機会です。 稼働してからでは、単独の予算として通しにくくなります。
まとめ
- 型番が分からない状態からの更新は、珍しいことではありません
- まず社内の記録(取扱説明書、部品リスト、発注記録)を探す
- 現物からは外形寸法、口径、設置方式を測る
- 運転条件(供給エア圧、サイクル数、実際の吐出量)が分かれば、型番が不明でも同等品は選べます
- 後継機は「今と同じもの」ではなく「今と同じ仕事ができるもの」で選ぶ
- 写真を数枚送っていただくだけでも、候補を絞れる場合があります
当社は創業から40年、AROの流体機器の製品導入、部品調達、修理のサポートを行ってまいりました。
「型番が分からない」という状態からのご相談で構いません。 現物の写真と、分かる範囲の運転条件をお送りください。
※記載の性能や実績は、特定の条件下で得られたものです。すべての環境で同じ結果を保証するものではないため、導入前には必ず担当者へご相談ください。