防爆ポンプのATEX認証とは?|危険物搬送の安全対策と規格解説
「可燃性の液体を扱うが、安全に搬送できているか不安…」
化学プラント、塗装工場、石油関連施設などで、可燃性・爆発性液体を扱う現場では、安全対策が最重要課題です。
不適切なポンプを使用すると、火災や爆発事故のリスクが高まります。
本記事では、90年以上の実績を持つAROダイヤフラムポンプの知見をもとに、防爆ポンプの基礎知識、ATEX認証の解説、危険物搬送の安全対策を解説します。
防爆ポンプとは? なぜ必要か
まず、防爆ポンプの基本と必要性を解説します。
防爆ポンプの定義
防爆ポンプとは、可燃性ガスや蒸気が存在する危険場所で使用しても、着火源とならない構造を持つポンプです。
着火源となる要因
- 電気火花(モーター、スイッチ)
- 高温表面(モーター、ベアリング)
- 静電気
- 機械的火花(金属摩擦)
なぜ防爆ポンプが必要か
危険物の例
- ガソリン、軽油、灯油(石油製品)
- アルコール類(メタノール、エタノール)
- 有機溶剤(アセトン、トルエン、MEKなど)
- 塗料、シンナー
- 液化石油ガス(LPG)
これらの液体は、蒸気が空気と混合すると爆発性雰囲気を形成します。
爆発の3要素
- 可燃性物質(ガス、蒸気、粉塵)
- 酸素(空気)
- 着火源(火花、高温)
この3つが揃うと爆発が発生します。防爆ポンプは、着火源を排除することで爆発を防ぎます。
防爆ポンプを使用すべき場所
具体的な場所
- 石油精製プラント
- 化学工場
- 塗装ブース
- 燃料タンクエリア
- 溶剤保管庫
- 危険物倉庫
ATEX認証とは?
ATEX認証は、欧州の防爆規格です。
ATEXの意味
ATEX(Atmosphères Explosibles): フランス語で「爆発性雰囲気」を意味し、EU指令94/9/ECに基づく防爆機器の認証制度です。
ATEX指令の2つの分類
ATEX 95(機器指令)
- 防爆機器の製造・販売に関する規制
- 製造者の責任を定める
ATEX 137(使用者指令)
- 危険場所での機器使用に関する規制
- 使用者(事業主)の責任を定める
ATEX認証のカテゴリー
機器は、使用できる危険場所に応じて分類されます。
| カテゴリー | 使用可能な場所 | 安全レベル |
|---|---|---|
| カテゴリー1 | Zone 0, 20 | 非常に高い |
| カテゴリー2 | Zone 1, 21 | 高い |
| カテゴリー3 | Zone 2, 22 | 通常 |
AROダイヤフラムポンプの認証 ほとんどのモデルでCE Ex11 2GD X(カテゴリー2)を取得しており、Zone 1およびZone 2で使用可能です。
危険場所の分類(Zone区分)
危険場所は、爆発性雰囲気が存在する頻度により分類されます。
ガス蒸気の危険場所(Gグループ)
| Zone | 定義 | 爆発性雰囲気の存在時間 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| Zone 0 | 連続的に存在 | 年間1000時間以上 | タンク内部、密閉容器内 |
| Zone 1 | 通常運転時に時々存在 | 年間10〜1000時間 | タンク周辺、配管フランジ付近 |
| Zone 2 | 異常時にのみ存在 | 年間10時間未満 | 換気設備のある作業場 |
粉塵の危険場所(Dグループ)
| Zone | 定義 | 爆発性雰囲気の存在時間 |
|---|---|---|
| Zone 20 | 連続的に存在 | 年間1000時間以上 |
| Zone 21 | 通常運転時に時々存在 | 年間10〜1000時間 |
| Zone 22 | 異常時にのみ存在 | 年間10時間未満 |
危険場所の判定
判定のポイント
- 可燃性液体の引火点
- 蒸気の発生量
- 換気の状態
- 漏洩の可能性
例:ガソリンタンク周辺
- タンク内部:Zone 0
- タンク開口部周辺:Zone 1
- タンク外側(換気良好):Zone 2
防爆構造の種類
防爆機器には、いくつかの防爆構造があります。
1. 耐圧防爆構造(d)
原理
- 内部で爆発が起きても、容器が破損しない強度を持つ
- 外部への炎の伝播を防ぐ
適用機器
- 電動モーター
- スイッチボックス
欠点
- 重量・サイズが大きい
- コストが高い
2. 内圧防爆構造(p)
原理
- 内部に保護ガス(窒素、清浄空気)を封入
- 内部圧力を外部より高く保つ
適用機器
- 制御盤
- 計装機器
欠点
- 保護ガス供給が必要
- メンテナンスが複雑
3. 安全増防爆構造(e)
原理
- 通常運転時に火花が発生しない構造
- 温度上昇を制限
適用機器
- 特殊電動モーター
- 接続箱
4. 本質安全防爆構造(i)
原理
- 回路のエネルギーを着火に必要なエネルギー以下に制限
- 短絡や断線が起きても着火しない
適用機器
- センサー
- 計測機器
5. 非電気式(エア駆動)
原理
- 電気を使用しないため、電気火花が発生しない
- 圧縮エアーで駆動
適用機器
- エアダイヤフラムポンプ
- エアモーター
最大のメリット
- 本質的に防爆(構造上、着火源がない)
- 認証が容易
- メンテナンスが簡単
- コストが低い
エア駆動ダイヤフラムポンプの防爆性能
エア駆動ダイヤフラムポンプは、防爆性能に優れています。
なぜエア駆動は安全か
理由1: 電気を使用しない
- 電気モーター不要
- 電気火花の発生源がない
- スイッチ類も不要
理由2: 高温部がない
- モーターの発熱がない
- ベアリングの摩擦熱がない
- 表面温度が低い
理由3: 静電気対策が容易
- 導電性材質の使用
- アース接続
理由4: 機械的火花のリスクが低い
- 金属摩擦部がない(ダイヤフラム駆動)
- 固形物噛み込み時も火花が発生しない
AROダイヤフラムポンプのATEX認証
認証内容
- ほとんどのモデルでCE Ex11 2GD Xを取得
- Zone 1, Zone 2, Zone 21, Zone 22で使用可能
認証のメリット
- 欧州での使用が可能
- 国際的な安全基準を満たす
- 信頼性の証明
対象モデル
- PROシリーズ:1/4インチ〜3インチ
- EXPertシリーズ:1/4インチ〜3インチ
エア駆動ポンプの追加安全対策
さらに安全性を高めるための対策:
1. 導電性材質の使用
- 静電気の蓄積を防ぐ
- 導電性ダイヤフラムの採用
2. アース接続
- ポンプ本体をアース
- 配管系統もアース接続
3. 除電装置の設置
- 液体の流動による静電気発生に対応
AROダイヤフラムポンプの危険物搬送実績
AROダイヤフラムポンプは、世界中の危険物搬送現場で使用されています。
石油・化学工業での実績
用途
- 石油精製プラント
- 化学薬品製造
- 塗料製造等
搬送液体
- ガソリン、軽油、灯油
- 有機溶剤
- 塗料、シンナー等
塗装工業での実績
用途
- 自動車塗装ライン
- 工業塗装ブース等
搬送液体
- 塗料(溶剤系)
- シンナー
- 洗浄溶剤等
導入事例
使用モデル例
- PH10A-BSS-SST
- PD30S-BSS-STT-B
用途
- 乳化剤の長距離移送
- 工場ワークショップ内の廃液移送
評価ポイント
- 安定性
- 信頼性
- 効率
危険物搬送の安全確保
可燃性・爆発性液体の搬送では、適切な防爆ポンプの選定と安全対策が不可欠です。
防爆ポンプの必要性
- 着火源を排除し、爆発を防ぐ
- 法令遵守の義務
ATEX認証
- 欧州の防爆規格
- カテゴリー2(Zone 1/2)で使用可能
危険場所の分類
- Zone 0/1/2(ガス蒸気)
- Zone 20/21/22(粉塵)
エア駆動ポンプの優位性
- 電気を使用しない
- 高温部がない
- 本質的に安全
AROダイヤフラムポンプは、CE Ex11 2GD X(ATEX認証)を取得し、Zone 1/2での使用が可能です。
エア駆動による本質的な安全性と、90年以上の実績で、危険物搬送の安全を確保します。
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※記載の性能や実績は、特定の条件下で得られたものです。すべての環境で同じ結果を保証するものではないため、導入前には必ず担当者へご相談ください。