半導体CMPスラリーの移送、なぜ詰まる・摩耗する?研磨性スラリーに強いダイヤフラムポンプの選び方
半導体のCMP(化学機械研磨)で使うスラリーは、ひとことで言えば「研磨剤の入った液」です。
ウェハ表面を平坦化するために研磨粒子を含んでおり、送る側にとっては非常に扱いにくい流体になります。
この研磨性と固形分が、ポンプに摩耗・詰まり・流量低下を次々に起こします。
半導体総論の記事では移送の難所を3つ挙げましたが、この記事ではそのうち「スラリー」だけを深掘りします。CMPスラリーをはじめとする研磨性スラリーを、止めずに安定して送るために何を見ればよいのかを整理します。
スラリー移送で、現場に起きること
部品の摩耗が早い
研磨粒子がダイヤフラムやボール、流路を削り、寿命が短くなります。
詰まり・流量低下
固形分が滞留・堆積し、吐出量が落ちる、あるいは止まる。
脈動によるムラ
吐出が周期的に増減すると、供給量が安定せず、下流の工程条件がばらつきます。
メンテ頻度と生産ロスの増加
摩耗・詰まりのたびに分解清掃や部品交換が必要になり、ダウンタイムが増えます。
スラリーは「送れればよい」流体ではなく、摩耗と詰まりを前提に、それでも安定して送り続けられる設計が求められる流体です。
スラリーに強いポンプの条件
- 固形分を通せる流路・許容固形物径
流路が広く、固形分をスムーズに通せる構造が基本です。
扱うスラリーの粒径・凝集の有無に対して、余裕のある機種を選びます。 - 耐摩耗性のある接液材質
研磨性に対しては、材質が寿命を左右します。耐摩耗性に優れるサントプレンや、耐薬品性と組み合わせたPTFEなど、スラリーの性状(研磨性+薬液性)に合わせて接液材質を選びます。 - ドライラン耐性と自吸
タンクや回収槽の液面は変動します。エア駆動のダイヤフラムポンプは、液が無い状態で運転しても損傷しにくく、自吸能力も高いため、液面が上下する供給・回収に向きます。 - シンプルな構造でメンテしやすい
スラリーを扱う以上、定期的な分解清掃は避けられません。ボルト締め構造など、分解・清掃・組立が容易な設計だと、現場の負担とダウンタイムを抑えられます。
脈動を抑えることが、供給の安定につながる
ダイヤフラムポンプは吸込・吐出を繰り返す構造上、脈動(拍動)が生じます。
定量供給が絡む工程では、この脈動が供給量のムラや配管振動につながります。
ARO製ダイヤフラムポンプには、高背圧のアプリケーションで圧力脈動を平均60〜80%低減する脈動ダンパー(オートマチックShockBlocker®)などのアクセサリーがあり、エアチャンバ(アキュムレータ)とあわせて脈動を抑えられます。
スラリー供給では、「送る量を一定に保つ」ことが品質の安定に直結します。
AROダイヤフラムポンプの活用事例
半導体分野では、スラリー供給システムや薬液供給システムにダイヤフラムポンプが採用され、製造工程における薬液・スラリーの移送に活用されています。
研磨性・固形分を含む流体でも、材質と流路を条件に合わせることで、安定した移送につなげられます。
材質・サイズは「実物で確かめる」のが確実
スラリーは、研磨粒子の種類・濃度・粒径・凝集状態が一つ違うだけで、最適な材質やサイズが変わります。カタログ値だけで決めきれないことも多いため、実際のスラリーでデモ機を動かして、摩耗・詰まり・流量を確かめてから決めるのが確実です。
※記載の活用例や性能は、特定の条件下でのものです。すべての環境で同じ結果を保証するものではないため、導入前には必ず担当者へご相談ください。